心不全を起こさないように食生活で注意することはありますか?
心不全の予防のための食事療法として最も重要なことは、塩分制限です。その理由は、塩分を多くとりすぎると循環血液量が増えて心臓の負担が増し、その結果、むくみ(浮腫)や息切れなどの症状を悪化させる可能性があるからです。日本人での通常の食事では10-15g/日のNaCl (Na+:174-261mEq/日)が含まれていますが、その塩分の制限を、(1)軽い塩分制限(2)中等度の塩分制限(3)高度の塩分制限に分けて考えてみましょう。
(1)軽い塩分制限 | : |
塩辛い食事(外食など)を避けるよう心掛けること |
(2)中等度の塩分制限 | : | 軽い制限に加えて、調理時の食塩投与量を制限すること ⇒ 4-8g/日のNaCl摂取換算となります。 |
(3) 高度の塩分制限 | : | 塩分量の少ない食事(※1)のみとすること ⇒ 1-3g/日のNaCl摂取換算となります。 |
※1:米、トウモロコシ、ポテト、豆、きゅうり、アスパラガス、きのこ、新鮮な果物など
以上より、まず心不全予防のために塩分摂取量は6~8g/日程度に控えるよう心掛けましょう。
しかし、過度の塩分制限をすることにより食欲減退を引き起こす可能性も十分ありますので、下記の“塩分制限のコツ”をご活用していただき、食に対する関心を維持することも重要であることも忘れないでください。
◆塩分制限のコツ
- 薄味に慣れる (外食を減らしましょう)
- 漬け物・汁物の量に気をつけましょう
- 「かけて」より「つけて」食べましょう
- 酸味を上手に使いましょう(レモン、すだち、かぼすなどの柑橘類や酢など)
- 香辛料をふんだんに活用しましょう(とうがらし、コショウ、カレー粉などの香辛料)
- 香りを活用しましょう(ゆず、しそ、みょうが、ハーブなどの香りのある野菜、海苔、かつお節など)
- 油の味を利用しましょう
- 酒の肴に注意しましょう(かまぼこ、はんぺん、薩摩揚げなど魚の練り製品、ハムやベーコンなどの加工食品は塩分過多の食品ですので注意が必要です)
もちろん、糖尿病や尿酸値が高い、コレステロールが高いなど他の疾患も指摘されている方は、それも加味した食事療法が必要になります。主治医の先生や栄養士さんによく相談に載ってもらって自分にあった食生活を送ることが非常に大切です。